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ヨーロッパからみた日本の伝統建築ー① [職人の心と技]

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南西ドイツのエスリンゲン市にある1430年に建てられた市役所

木造建築が占める位置

古代ギリシャで石造建築が主流になったのは紀元前6世紀といわれ、石造建築がアルプスの北側に普及しはじめたのは1世紀以降のローマ時代であった。それまではほぼ全ての建造物は木造であった。
建物の実物そのものは残っていないが、出土品やローマの歴史家のタキトゥスの「ゲルマニア」にもゲルマン民族の家づくりが述べられている。
1世紀以降、ローマ帝国支配下にあったドイツやフランスでも驚嘆すべき大きな城壁、門、宮殿や劇場が石造で建てられ、その遺構が今日に数多く残されている。その後、ローマ帝国が崩壊した後の民族大移動があった4世紀から8世紀までの建築は、再び木造に戻った。
しかし、8世紀から19世紀までの間に、ヨーロッパのほとんどの地方で、木造建築は石造建築にとって代わられる。場所によってこの変化の早さや規模は異なったが、特に重要視された宗教や権力を誇示する施設がまず石造で建てられた。
最初は教会と修道院などにそれが顕われ、中世になると財を成した裕福な大都市の市庁舎なども石造で建てられるようになった。石が富の象徴とされ、財産を蓄えた商人などは石の家を建てた。彼らは「石富豪」と呼ばれ、現在でもこの言葉は資産家のことを指して使われている。
16世紀以降に多く建てられた宮殿の全ては石造建築である。19世紀になると、木造の範囲は農家や仮設の建物に限られるまで減少した。19世紀後半にハーフティンバーの住宅が少し流行した時期があったが、全体をみると、大量生産によって低価格になったレンガや新建材の鉄やガラスの普及によって、木造建築はその後も減少の一途をたどった。
日本の木造建築
ヨーロッパにおける木造建築の衰退とは異なり、日本では19世紀後半まで社寺や宮殿などの高級建築も木材で造営された。石材の使用はごく限られて、礎石、基壇や舗装材にしか使われなかった。レンガや石造建築の出現は、日本の近代化が始まる時代、すなわち1850年の佐賀藩の反射炉建設などにみる江戸時代末期まで待たなければならなかった。
言うまでもないが、木材がほぼ唯一の建材であったとも言える日本では、木造建築物の需要が減少したヨーロッパ諸国などよりも木工技術が発達するのは当然のことであった。(次回へ続く)



語り部:クリストフ・ヘンリヒセン=1962年ドイツ・アンデルナハ市生まれ。1995年~98年、高野山・金剛峰寺不動堂の修復修理に従事。1999年、ケルン大学で日本における木造古建築の修復について博士論文執筆。博士号を取得。現在、ドイツ・ヘッセン州立文化財保存局に勤務。ヂルトムトン大学理工学部建築科で建築史の客員教授。
 「未来につなぐ匠の技と心」(竹中大工道具館)より抜粋。
  



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コメント 5

yamagatn

西洋の古い建物って味がありますよね^^
by yamagatn (2008-06-27 08:26) 

信州のりんごほっぺ

建物も物も長い年月を経た物はいいものですね。

by 信州のりんごほっぺ (2008-06-27 09:26) 

甘党大王

各国の気候風土によって、建築発達の方向が違うものですね。
独特の建物を拝見するだけで、何処の国なのか
大まかな想像が出来るのもソノ為なんですね。
1つの建物から沢山の情報が発信されていて、とても興味深いです。
by 甘党大王 (2008-06-27 10:18) 

pace

物凄い量のレバノン杉がローマを中心とした都市の運ばれ
レバノンが砂漠化したのも歴史のひとコマですね
by pace (2008-06-27 12:50) 

たいせい

 屋根的には、一般に言われているフラットなのが欧風ではなく、応酬も山谷のある瓦が使われています。
 違いがあるとすると、台風がないことにより棟側で堅結された瓦が剥がされる防ぐ必要が薄く瓦の長さが長いこと(長い方がテコの原理で剥がされやすくなります)、もう一つはやはり引き剥がされる力が強く働く棟や袖側に重しとして棟の段積みが施されていることだと思います。
 屋根残隊の意匠的には、風と同時の雨が少ないことで、軒の張り出しも小さいなども特徴としてあげられ、日本に於いては台風や強風の対処が立物を考える大きな要素になったと感じています。
by たいせい (2008-06-28 13:05) 

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